一般社団法人 人工内耳友の会 ACITA

人工内耳友の会 ACITA
ACITA会報 No.143
2023/11発行
目 次
◆ACITAからの報告
人工内耳の日記念企画報告
福岡大会について
新規助成事業報告
ブロック長会議報告
◆「人工内耳の日」記念講演 今、私が伝えたいこと
富山大学附属病院 耳鼻咽喉科 藤坂 実千郎先生
◆「人工内耳の日」記念企画報告
東京支部 東海支部 富山支部
石川支部 愛媛支部 香川支部
◆支部便り
東海支部 茨城支部 埼玉支部
東京支部 神奈川支部 静岡支部
2024年福岡大会PR
◆ふりーとーく
勝手にコーヒーブレイク(101)
バイクでぶらり旅(6)
◆子供たちの広場
オレンジデイズ夏の企画報告 冬の企画ご案内
◆メーカー掲示板
メドエルジャパン 日本コクレア 日本光電(バイオニクス)
◆書籍案内
◆お知らせ
会員動向 事務局便り 編集後記
会計からのお知らせ
「人工内耳の日」記念講演会
今、私が伝えたいこと
富山大学附属病院 耳鼻咽喉科
藤坂 実千郎 先生
2019年までの国内人工内耳手術件数は14,000件になり、年間手術件数も1,200件となっています。7歳未満の手術件数は3分の1から半数近くです。富山県も年間10数件から20件前後の手術件数で、累計で225件となっています。富山県はちょうど人口が100万人で、人口換算でいうと全国平均の2倍近くの手術件数になります。
今回お伝えしたいことは2点、1)難聴遺伝子、2)対側人工内耳植込みです。
1) 難聴遺伝子
先天性難聴のおよそ半数は遺伝性であることが推測されます。そのうち、約7割近くが家系に難聴者がいない常染色体潜性遺伝形式です。難聴遺伝子は現在保険診療による採血で調べることができます。難聴の原因がわかること、今後聴力がどのように変化するのか、他疾患の発症の可能性、次子の難聴発生確率を予測することが可能です。また近年、40歳以前から難聴が発症し、徐々に聴力悪化が進行する若年発症型両側性感音難聴が注目されています。原因となる難聴遺伝子が検出されており、該当する場合には難病指定となりま す。先天性難聴と同様に保険診療の対象です。
2) 片側人工内耳植込み済みの患者さんに対 する対側人工内耳植込み
成人の方は髄膜炎など特殊な場合を除いて、一側人工内耳手術の方が多いと思います。手術前は筆談であったのが、一側手術でも会話 が可能となるため術後の満足度が高く、担当医も対側の手術を勧めてこなかったと思いま す。しかし、一側人工内耳植込みの患者さんは、一側聾の方と同様に音の方向感がわかりにくく、雑音下での聴取が苦手です。両側重度難聴の成人で、すでに片側人工内耳植込み済みの方は、対側への手術も健康保険が適用されます。対側手術について質問があれば、是非担当医にご相談ください。
「人工内耳の日記念企画報告
【東京支部】
今年度の人工内耳の日の行事企画、東京支部主催の講演会の報告をいたします。
■日時: 2023年9月23日(祝)
13:30〜16:30
■場所: 東京都障害者福祉会館
集会室A1、A2
■内容:
・人工内耳の日の取り組みについて
・講演会テーマ
「人工内耳で何ができるか」
〜今の人も、これからの人も〜
・質疑応答
■講師: 国際医療福祉大学三田病院喉科
聴覚・人工内耳センター
センター長 岩崎 聡 先生
言語聴覚士 久保田 江里 先生
この講演会は人工内耳を知っていただく機会として、どなたでも参加できる企画としました。「人工内耳の日」のポスターや案内チラシを障害者福祉会館に掲示し、ACITAホームページにも案内を掲載しました。その他、関東各支部にも案内をお願いし、申し込みを受け付け、多くの方からのメール申し込みは当日まで対応し、大勢の参加となりました。当日は、他の支部長にも協力いただ き、午前中から会場準備、資料印刷を行い受付の担当もお手伝いをいただきました。
初めに、参加いただいた方の中には人工内耳のことや、ACITAの活動などをご存じない方が多く、2004年から取り組んできたことをお話させていただきました。この会報の巻頭言に、今回話した「人工内耳の日」の取り組み について掲載いただいています。
先生お二人の講演では、人工内耳のこと、リハビリについての多くのお話をしていただき、たいへん勉強になりました。質疑応答も丁寧 に答えていただきました。
講演会は、先生に時間を調整いただき終了いたしました。有意義な講演会となり、先生、そして携わってくださった各支部長様、役員、お手伝いいただいた方々に感謝申し上げます。
以上、ご報告申し上げます。
【受付とアンケートによる参加者データ】
参加者 会員: 30名
非会員: 41名(家族含む)
講師: 2名
要約筆記: 4名 総数77名
人工内耳装用者 … 43 名(内、非会員13名)
アンケート回収 … 54 名
「人工内耳の日」を知っていた人 … 29名
「人工内耳の日」を知らなかった人 … 25名
参加者の情報やご意見などをまとめたアンケート報告、講演会の質疑応答は、東京支部会報 66号(2023年11月発行)に掲載いたします。
支部会報のご希望がありましたら、東京支部事務局にお問い合わせください。
【東海支部】
9月24日(日)に名古屋市総合社会福祉会館にて「人工内耳の日・記念イベント」を開催し、正会員・非会員・人工内耳のメーカー様など26名の皆様に参加して頂きました。
体験発表 小児の部
・生まれつき音が聞こえなくても、先生が調整してくれます。僕は、人工内耳があれば大丈夫です。
・お母さま 両耳重度難聴で、1歳10か月で手術。今は、息子との会話が楽しみです。
成人の部(東海支部正会員)
17年前に突発性難聴で、手術をして聞こるようになり良かったです。人工内耳を勧められた時は、前向きに考えてほしいと思います。
講演 愛知医科大学医学部耳鼻咽喉科
頭頸部外科 助教 岸本 真由子 先生
・愛知医科大では1)地域医療の格差をなくす、2)大規模災害での活動、3)重症傷病者、を主に ドクターヘリを365日運航しています。昨年は、370件程運航しました。
・2003年から人工内耳の手術を開始してから、今は小児の先天性難聴が(言語獲得未満)多いです。続いて60歳以上の方が増えています。
・これからの人工内耳は、現存聴力活用型人工内耳の登場で、新基準になり難聴の方の選択枠が増えました。一側聾への装用は海外では普及しており現在、日本でも検討されています。
・iPS細胞を移植して神経再生を促す方法が近い将来に実現されると言われています。
・これからのマッピングは、遠距離マッピングです。患者さんは、手術した病院以外で画面を通して行います。メリットとデメリットもあり、相互の信頼関係も一層必要になってくると思います。
最後に体験発表者・岸本先生・メーカー3社と質疑応答の時間を設け、聞こえの向上を目指して熱心に発言されておりました。とても 有意義な「人工内耳の日」になりました。
【富山支部】
10月22日(日)富山市立奥田公民館で北陸ブロック集会と講演会が4年ぶりに富山県で開催されました。コロナ禍で集まる機会はなく久しぶりの対面による集会となりました。
講演会は富山大学附属病院の藤坂先生を講師にお招きし「今、私が伝えたいこと」というテーマでお話していただきました。
できるだけ多くの人に来てもらいたいと、 開催場所をJR富山駅から徒歩10分の奥田公民館に設定しました。富山県、富山市に後援を頂いて要約筆記を準備し、コクレアさんの好意で磁気ループをお借りして、参加者へ情報が伝わるように準備しました。
また、講演会のチラシを200枚準備して、 富山支部委員で病院、県、福祉関係施設、知人等へチラシの設置をお願いにまわり、全市町村の障害福祉課には渡部副支部長がすべて直接出向き、チラシの設置に協力をお願いしました。さらに講演会間近には北日本新聞にてPRを行いました。その成果で60名近くの 申込みがありました。
前日は大雨で心配しておりましたが、日中は少し暑いくらいの気温であり、見事な秋晴れの天気に恵まれました。朝は9時から会場入りして受付の準備や機材の準備をし、11時 30分から北陸ブロック集会、昼食をはさんで12時30分から講演会の受付開始、13時から講演会がはじまりました。
先生のお話は、プロジェクターを活用し、正面に大きなスクリーンに映し出され、病院での人工内耳装着の手術の現状、難聴の原因、そして両耳装着への話がありました。正面のスクリーンを見ながら、むかって右側に要約筆記の文字が見えるモニターで話の内容を確認し、活用できる人は各自のリモコン等で磁気ループが使用できるよう設定を行い、真剣な表情で話を聞こうと会場は熱気で包まれました。
そして、メーカー3社によるプレゼンテーションです。所要時間10分で、メーカーの特色、毎日のお手入れの方法等を説明していた だきました。これについては、改めて再確認という方法ですが大切なことです。
最後に藤坂先生とメーカーによるパネルディスカッションです。いろいろな質問があり、答えにくい話でも、実例まじえて説明されました。
終了後、片付けタイムだったのですが、皆さん汗だくになって会場の片付けしながらも 同窓会さながらの会話が見られすごく楽しそうでした。それだけ、会う機会がなかったこの数年分の 講演会がこの一日に凝縮されたイメージです。これからも、機会を見つけ、活動をしていきたいと思います。みなさまお疲れ様でした。
本会報6ページに藤坂先生の講演について まとめておりますのでご一読下さい。(※上記)
【石川支部】
9月23日(金)に、能登にお住まいの難聴者に向けて石川支部として初の人工内耳の講演会を開催しました。
今回は奥能登2市2町(輪島市、珠州市、 能登町、穴水町)の委託事業として県聴覚障害センターが主催する「聞こえにお困りの方の生活訓練講座」の第2回目の枠をお借りし、金沢大学附属病院の杉本先生にご講演いただきました。杉本先生は穴水町出身で、能登へ も転勤で何度か病院に赴任された経験があるそうです。馴染み深い気持ちもおありだったのではないでしょうか。
当日の会場である能登空港の教室には奥能登の難聴者は10人程度、ACITAの会員の参加者は6人くらいで、そのうち人工内耳装用者は支部長の野口さんと私の2人。思ったよりも参加者がいてホッとしました。というのも、奥能登は比較的都会である金沢とは違い、難聴者は潜在的にいると思うのですが、数が少ないこともあり、人工内耳についてもあまり知らない人が多いからです。あとで聞いたことによると、今年の5月に珠州で起きた震度6の地震がきっかけで聴覚障害者からの相談が増えたそうです。普段は困ることなく過ごしていても、さすがに生活の危機となると逼迫するのでしょう。
先生の講演は午前に行われ『難聴を改善して認知症を予防しよう!』という内容で1時間程度。聴覚の仕組みから病気について、そのあとで難聴の切り札である補聴器や人工内耳について、最後に難聴と認知症について図やイラストを用いたスライドを投影してお話くださいました。耳掃除の仕方では耳垢を綿棒で押し込むことがあるそうです。正しい綿棒の使い方は1)細い綿棒を使う、2)力を入れてこすらない、3)入浴後にそっと拭う、4)1ヶ月に一度程度で十分だそうです。
講演終了後の午後からは能登の方々の交流会です。各自2つのグループに分かれ、筆談を用いて自己紹介から始め、自身の難聴のことや人工内耳についてどんな機器があるのか、保険は適用されるのか等、数ある難聴の手段の一つとして伝えることができ、交流も深ま りました。
ただ、やはり先生の話は難しかったようで 「金沢では講演中にもっとくだけた話してますよ。例えば阪神ファンで毎年甲子園球場行ってる話とか」と伝えたら「そういうの聞きたかった〜!」と残念がってました。ちょうど阪神が38年ぶりに優勝して盛り上がったのにねと...。この記事を書いている現 在はまさに日本一に王手をかけている最中ですが、さて11月末に発行されている時はどうなっているでしょうか? 次回また機会があれば、趣味話もお聞きしたいですね。
【愛媛支部】
愛媛支部は10月29日(日)、松山市総合福祉センターに参加者約70名を集めて人工内耳記念行事「第15回人工内耳相談会 in 松山」を開催しました。事前広報では、チラシ・ポ スターの掲示・配布・郵送、タウン情報誌等への掲載に加え、会員一人一人が広報マン・レディとなって参加を呼び掛けました。
当日は、パソコン要約筆記4人・手話通訳4人・磁気誘導ループによる情報保障を提供。人工内耳メーカー3社と補聴器メーカー1社 による機器展示には、多くの方が高い関心を寄せたほか、手作りの会場設営がその場を盛り上げました。
<講演>
講演1では、愛媛大学医学部附属病院耳鼻咽喉科頭頚部外科助教の西原江里子先生が 『もう一度聞こえを取り戻すために 〜人工内耳の進歩と将来展望〜』と題して、「聞こえについて」「難聴」「人工内耳の歴史と進歩」についてわかりやすく解説していただきました。講演2では、鷹の子病院愛媛人工内耳リハビリテーションセンター長の高橋信雄先生が、『人工内耳の(リ)ハビリテーション』と題し て、聞こえにくさがもたらす「関係の障壁」「情報の障壁」、「リハビリの4つの領域(機器の調整、きこえと音や言葉の学習、家族(周囲・社会の理解と支え、環境の調整)」等につ いて、人工内耳を装用した幼児の成長記録を交えながらお話くださいました。
<人工内耳装用者の体験発表>
小・中・高校生、保護者、成人の計6名が 登壇して人工内耳装用に至った経緯、現況など心情を交えながら披露、とりわけ周囲への感謝とわくわくする未来への期待を語る子供たちの幸せを願わずにはいられませんでした。
また、様々なネット情報が溢れる昨今、装用者自身の生の声がどれだけ貴重かを、参加して下さった方達の真剣な表情がそれを物語 っていました。
<質疑応答>
西原先生、高橋先生に加えて、松山赤十字病院耳鼻咽喉科医師で人工内耳装用者の狩野拓也先生という最強の布陣で参加者からの質問に応えていただきました。この中で「人工内耳の聞こえの最適化を模索するAIの活 用」「どのように聞こえているかを検査側が知るすべは」「飛行機や乗り物に乗ったら耳が詰まるなど支障はないか」「外国語の習得は 可能か」「故障の頻度や再手術は」「どの人工 内耳メーカーを選択するべきかの判断は」等の質問がありました。
<個別相談>
個別相談希望者は、県境の愛南町からお越 しになった方も含めて3名。皆さん人工内耳を真剣に検討されているご様子で当初の予定時間を大幅に超過しました。
以上のとおり、今回の相談会は盛会のうちに無事に終了しました。当初は、どのくらいの方が来ていただけるか不安でした。でも、 事前に電話リレーサービスを使って「参加し たいです」との問い合わせや、「ぜひ、娘とともに参加したい」と話すお母さんなど、期待してくれる人がいる以上、仮に参加者が少なくても開催準備してよかったと思ったのでその不安は吹っ飛びました。
おわりに、今回の人工内耳相談会の開催に 際してご協力いただいた関係者各位に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
【香川支部】
9月9日が人工内耳の日として記念日認定され、ACITA本部から人工内耳の日の企画に対し助成するとのことで、香川支部でも去る10月29日午前10時〜12時、人工 内耳の日記念講演会をサンメッセ香川にて約30名参加で開催しました。
準備期間も短いながら会場選定から始めて人工内耳の日啓発ポスター、ACITAチラシ、開催案内チラシを、助成していただいている県下8市6町の福祉課に、住所地のある会員の皆さんに協力をいただき配布。その他、病院、関係施設、団体、新聞社、放送局、店舗等31カ所に直接訪問して、掲示、広報をお願いしました。新聞社3社が情報コーナーで掲載してくれました。
広報効果がどれだけあるか不安ながら、当日を迎え8時半からの準備に向かいましたが 天高く馬肥ゆる、まさに秋の空という朝の空模様に救われる思いでした。
会員の皆さん、コクレア担当の方、情報保障の要約筆記の皆さんも早くから会場に来て下さっていて、初めての会場ということで時間内に準備できるかという不安もありましたが、定刻通り開始できました。
演題は「人工内耳の現在とその可能性」として、医師の立場から香川大学医学部附属病院耳鼻咽喉科 宮下武憲先生、そして長らくマッピングを受け持たれ、現在は大阪保健医療大学で言語聴覚士の養成に携わっておられ、 週一回香川大学病院で臨床をされている福田信二郎先生のお二人に講演をして頂きました。
宮下先生からは多岐に渡るお話をして頂き、スマートフォンなどとのダイレクトストリーミング(ブルートゥースで繋ぐ)で自動翻訳機能が使えること、インプラントの未来としては更に薄く小さなインプラントになって欲しい、電極の挿入を補助するシース(さや状の)がもっと細く、あるいは必要なくなると低侵襲で手術が可能になる。また人工内耳を 必要とする方が適用になるのに、人工内耳を知らない人を減らしたい。人工内耳が最良の選択か、一人ひとりの最良の方法を選べるように、また最大に引き出せるようにサポートしていると話されました。
福田先生からは、どのように電気信号が処理され送られているか、音声処理法、音声コ ード化法の進歩、マッピングの方法も進化していること、実用化はまだだが、遠い病院ま で行かずとも遠隔マッピングできるようにも なるだろうなど、お二人とも分かりやすいパワーポイントとアニメーションでお話をして頂きました。
最後に会場からの質疑応答として6名の方 から職場での誤解を受ける、高音部が聞こえない難聴への人工内耳の可否、行政の点から足りない事や改善の要望はあるか等の質問があり、丁寧にお答えいただきました。
非常に丁寧で分かりやすい講演のお陰で、参加者それぞれに聴講の成果を持ち帰っても らえたと思います。
先生方はじめ、参加者皆さんの協力のお陰できっちり時間内に準備、片付けができ非常に良い講演会となりました。
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